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乾燥肌や乾皮症とは?
健康な人の皮膚は本来、みずみずしさと弾力性を備え、アレルゲンや微生物などの外部からの刺激から身を守っています。
しかし、加齢や普段の誤ったケアなどによって皮脂の分泌が低下すると、皮脂膜が薄くなり、角質の水分が減少しやすく、乾燥肌になりやすくなっています。
このような乾燥肌では、ほんのわずかな刺激でも過敏に反応し、炎症による赤みやかゆみが起こってしまうのです。
老人性乾皮症とは
老人性乾皮症とは、加齢に伴い皮脂や汗の分泌が減少し、皮膚の角層の水分保持機能が低下することに影響を受けた、皮膚が乾燥した状態のことを差します。
高齢者でにおいては実に約95%が乾皮症と認められ、その半数がかゆみを訴えていると言われています。
その症状は皮膚に浅い亀裂や白いふけのような鱗屑が生じ、掻痒(そうよう:かゆみ)を伴います。
さらに皮脂の分泌量が低下し、皮脂が構成する皮脂膜が脆弱になると、老人特有の要因として本来は脱落しているべき角質細胞が表皮に残り、角質層が厚くさせて乾燥の助長につながっていきます。
年齢を重ねるとなりやすい乾皮症
前にも挙げたように、高齢者では約95%に乾皮症が認められいると言われています。
高齢層の乾皮症は保湿因子の減少が主な原因です。中でも皮脂の分泌量による影響は大きいとされています
年齢による皮脂分泌量の変化
皮脂腺から分泌される皮脂の量は、主にホルモンによってコントロールされています。
そこで、年齢とともにホルモンの分泌量が減少するとともに皮脂の量が減っていきます。
また、皮脂分泌量の変化は男女でも異なり、男性は60才を過ぎると、女性は40~50代にかけて急激に皮脂の量が減少していきます。
皮膚の表面は皮膚の細胞が変化した垢(アカ)の層(角質)がおおっています。
地表で暮らす人間は、環境に適応するために皮膚はその表面に皮脂とよばれる脂質(あぶら)の膜をつくって水の蒸発を防ぎ、体を保護しているのです。
しかしながら加齢によってその機能が次第に低下するために、体のある部分で皮脂が少なくなってしまうことがあります。その状態こそが、高齢者の場合は老人性乾皮症と呼ばれ、皮膚の本来の機能を失わせて本来の防御機能が低下させるといった現象を引き起こしてしまいます。
健康な人の皮膚は、天然保湿因子(NMF)やセラミドによる角質層の水分を保持する機能と、皮脂膜(皮脂および汗)の水分蒸散を防止することにより、なめらかで潤いのある皮膚が保持され、高いバリア機能を維持しています。
一方、加齢などによる乾燥肌では、皮膚の保湿力が低下してバリア機能が低下している状態になっています。
乾皮症が続くと高まる”かゆみ”に敏感な状態へのリスク
乾皮症の状態が続くと真皮に存在するかゆみの知覚神経線維(C線維)が表皮に伸びています。
そのような状態ではかゆみに対して刺激レベルが低くても敏感に感じ取ってしまうようになり、わずかな物理的刺激でもかゆみのスイッチが入って過敏になり、皮膚瘙痒症となります。
かくことで皮膚の炎症を引き起こし、皮脂欠乏性湿疹、さらにかき壊して悪化し、貨幣状湿疹へ進行してしまいます。
老人性乾皮症の治療と生活上の注意点
老人性乾皮症の治療
老人性乾皮症の治療の原則は保湿剤を用いることです。
老人性乾皮症は空気が乾燥する冬に多く起こり、この期間のスキンケアが非常に大切です。
この場合は皮膚の乾燥を予防することで症状がやわらぎます。
悪化して湿疹になってしまうとステロイドの外用などの適切な外用療法やかゆみを止める内服療法が必要になります。一般的に痒み止めと呼ばれる抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤の内服薬が処方されることがあります。これらは痒くて病変を掻いてしまって、またその皮膚が悪化するという、悪循環を断ち切るのに必要です。
医師の指示を守って服用しましょう。
老人性乾皮症の日常生活上の注意点
老人性乾皮症に関して日常生活上の注意点がいくつか挙げられます。
入浴は熱すぎるお湯をさけ、あまり長い風呂はさけるようにします。石鹸は通常使用できますが、あまり皮膚の脂を取り除いてしまうようにゴシゴシと洗うことは避けるようにします。皮脂を取り除く力が強すぎる洗浄剤は避けるようにします。たわしやナイロンタオルなどの物理的な摩擦を避けます。
保湿剤は入浴後の皮膚が少し湿った時に外用すると効果的です。衣類はできるだけチクチクせず、刺激の少ないものを選んだほうがよいでしょう。
また、生活住環境の低湿化(密閉された住環境や暖房などによる室内の乾燥)にも注意が必要です。